#1

街から少し離れたところに急峻な崖があって、海を切り裂くように尖った先端はちょっとした自殺の名所になっているのだけれど、その踏み馴らされて平らになった岩盤からあまり遠くない松林の中にわたしは住んでいたりする。 住んでるといったけれど、家出して…

「両想いの二人は付き合う。」 プンプンにとってそれはすさまじく新しく、モダンな概念でした。 おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス) 作者: 浅野いにお 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2007/08/03 メディア: コミック 購入: 4人 クリック: 295…

もちろん完璧なコミュニケーションをするならば、ふたりは抱き合ったまま剥き出しの車輪を回らせて、どこまでも外へ外へ荒野を走り続けるしかない。 それは、わたしとあなたの間の無限の恋愛闘争とはべつの、戦いのかたちだ。 けれど、なにも戦う必要はない…

新美少女主義(もうちょっといいネーミングがほしいところ)はかつて存在していた美少女という文明を、その特徴を誇大化することで再生しようという目論見でとりあえずまとめておく。 ディスコミュニケーション・トラウマ・奇跡。新本格がトリック・ロジック…

せめて言葉を紡がなくていけないという思いばかりがつのって、空回りすることさえできずに椅子に座ってぼんやりと光る液晶を眺めることしかできないのだ。 猫背で。

ガチレズ大井bot第2部、ライトノベル性、あるいは帰ってきたドラえもん。 それらに共通するのは「続けなければいけない」という強固な命題だ。果たして欲望と呼ぶべきなのか外圧と呼ぶべきなのかは定かではない。けれども、たしかなことは、次なる何かをこの…

今日のよかった文章。 『ヴァンパイア・サマータイム』p258から。 他の客はみな吸血鬼なので、水槽をのぞいて「見て見て」「あ、あそこにいる」と声をあげている。ヨリマサがライトを向けてみると、水中に赤い光が走り、姿の見えない魚たちよりもよほど目立…

今日のよかった文章。『わたしたちの田村くん2」から。 「うええええええ――――んっ! ひどいよお、田村のばか、裏切り者、浮気者、最低最悪ばい菌男、偏差値不足のニート候補っ! ふええええええ――――んっ!」 「な、なんてことを……」 「最低最悪ばい菌男」の…

「ぴぴー! この空間では人生論は禁止されています!」

他のあらゆるどうしようもなさを認めても、『惡の華』は、あんな話なのにキャラクターのトラウマが一切存在しない(露わにしようとしない)という一点において、どこまでも私は評価する。物語ですべてを動かしていて、それは私の理想のひとつでもあるから。 …

『言の葉の庭』

『言の葉の庭』を見る。 最初の短編はコメントに価しない感じがある。もともと野村不動産のプロパガンダムービーらしいのでしかたない。おおかみこどもの時も思ったが、親子関係を親密に描くのに母か父かのどちらかを欠落させないといけないのというのは、単…

学校のいきかえりに渋谷によるものだから、今日はなんとなしにワールドカップのがちゃわやした騒ぎを見ていた。スクランブル交差点を警察が封鎖するというニュースも聞いてたので、それの興味でというのが大きい。 スクランブル交差点で警察がフェンスやら人…

うーん、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』を読むということが、八幡という主人公を特権的に読み込むことである、ということからは脱しないといけないのは、たぶん、まちがいない。 もちろん、八幡を特権視することが最も「正当な」読解であること…

なにもかもなにもかもをマイナスに評価して、弱々しい腕でひとつひとつ私の身か除けていって、最後に残ったキャラクター(たち)をひとすじの光明みたいに言祝ぐなんて、そんなことは決して……。

小説はまあ、言葉でつくられる以上、それはひとつの現実である。たとえばアニメや漫画のように全面的な虚構性を主張することは、困難だ。 しかし、ひとつの小説がひとつの現実である、ということは、わたしたちが自分の所属していると思っている世界について…

小説を書いていて、悪意を固有名をもつキャラクタに与えることの不可能性に直面している。 悪意の起源を、外部に措定せざるをえない。無名のひとびと(≒DQN)に悪意を発生させることしかできない。嫉妬と憎悪を架け橋するものがよくわからぬ。

ある言葉にひもづけられるひとつの人格がある。そういう嘘を信じるのはやめにするべきなのだ、きっと。……しかし、きっと作者や語り手は死なず、私たちの目の前にテクストが現われることはきっとないのだろう。

「キャラクターのロジック(論理)」という問いの形式で小説におけるキャラクター構築のことを考えてきたのだが、ここのところ論理という言葉は語弊があるなぁと気付きつつある。 論理という語は強すぎる。ロジックと言ってしまえば、三段論法てき演繹のよう…

モバマスと、ひとつの二次創作

モバマスについて。 もう1年近くもモバマスをやっている。しかし、「やっている」と人に言うことができるような状態なのか。1日2回程度アクセスして、ポイントを消費する。その繰り返しだ。課金はまったくしない。しようという気もあまり起こらない。カード…

『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』を読み進めていたが、ロクサーヌが出てきた瞬間にかなりきつくなってきた。 キャラクターの関係性がナチュラルに奴隷‐主人なので、倫理とはなんだったのか感。迷宮を攻略するための能力がどうかという機能的な能力と、胸や顔…

インターネットによって物理的=時間的に分断されているわたしは、アカウントという仮想でひとつにまとめられる。卒論を書き終えたという言葉をツイッターに放つ。おめでとうおめでとうとの返信の山。わたしがそのようなひとびとのネットワークの中にいたん…

文体のことを考えつめるべきかキャラクターを思いつめるべきか世界のシステムを考えつめるべきか。 文体という言葉を口にする時それはまったくセンスと同義であって、しかし、センスの基盤がわからぬ。論理やら明瞭さやらを信仰しすぎた報いなのだ。ロジック…

文体を考えなきゃと思っている。語尾と距離感。どうやら読者がいると知ってしまったわけだし。 おにあいアニメの最新話。 話としてはもううんざりしてしまうくらい理性的の理性的。水着を評価線にキャラクタを順番に見せていく、分割、分割して並び替え。デ…

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6』

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6』を読んだ。 端的に言うと、感動した。 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)作者: 渡航出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/11/20メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 708回この商品を含…

生活主義というのがどれぐらい有用に今のフィクションを読めるのか、考えている。 そうしなくてはいけない気がする。 これは生活でキャラクターを読むという試みだ。キャラクターに存在するロジックの質を問うという仕方でキャラクターを読むこともなく、か…

当面の原則的な態度として、小説以外のフィクションについてはあまり明確に態度を決めずに自然体で接していることにしている。そのようにこころがけている。 としていると、どうなるか。 アニメ。 『中二病でも恋がしたい!』を自らにとってナチュラルに見る…

日々にうんざりした時にブログに文字をつらねてみようと思うのは間違っている。 なにもかも詩を読んでいないせいにしよう。 純文学を読んでいる時が一番ものを考えずにすむという状態。 「先生」という文字が打てなくて、「せに会い」「線足」「線絵師」「ん…

たえず小さな蠅がどこからやってきて、視界を邪魔する。潰す。またどこからかやってくる。しかしこの永久運動は止むことがない。 人生訓のようなことをつらつらと考えてしまう。なんだ、その、欲望されるままではいけない、欲望するのだ、欲望するのだ!イデ…

ココロコネクトの件について

昼12時前後に寝床から抜け出す。なにがしかの炭水化物とカフェインを摂る。 それから、ネットを見たり、本を読んだり、バイトをしたり、たまにはレポートを書いたりして、時間が過ぎる。 時々ひとに会う。二日か三日に一回。 このところはそうして生きている…

『カゲロウデイズ――in a daze』試論:PV小説のはじまり

某所に掲載した小説版『カゲロウデイズ』の評を転載する。 一見、単なる稚拙な小説に読めてしまう。漠然とした描写の文の連なりが、のたのたと延々するように続いていく。記述の自動運動に淫してしまった、書くことの自制をまだ覚えない小説と読めていく。 …