今日のよかった文章。

『ヴァンパイア・サマータイム』p258から。

 他の客はみな吸血鬼なので、水槽をのぞいて「見て見て」「あ、あそこにいる」と声をあげている。ヨリマサがライトを向けてみると、水中に赤い光が走り、姿の見えない魚たちよりもよほど目立った。彼はあわててスイッチを切った。

「これ、中を照らしちゃっていいのかな」

「だいじょうぶみたいだよ。ほら」

 冴原が水槽脇の案内板を指す。そこには光る文字で「さかなはあかいひかりがみえないからライトをあててもへいきだよ」と書かれていた。

吸血鬼と人間が半々で共存しているという世界設定はおおむねこの小説では失敗しているのだが、ここは非常に巧く機能していて、よい。

あと、どうもおれはひらがなに弱いようだ。