もちろん完璧なコミュニケーションをするならば、ふたりは抱き合ったまま剥き出しの車輪を回らせて、どこまでも外へ外へ荒野を走り続けるしかない。

それは、わたしとあなたの間の無限の恋愛闘争とはべつの、戦いのかたちだ。

けれど、なにも戦う必要はないのだ。口笛を吹くように軽やかでも、泥にまみれるように重々しくとも、戦いをせずにいることはできるのだ。

ディスコミュニケーションダイナミックな変容のなかの無限のナルシシズム。ふたりの第一声は必ず失敗する。まずはじめの喉のふるえから破綻しなくてはならないのだ。あらゆる意味はそこからはじまる。