2014-01-01から1年間の記事一覧

まだ夕暮れは終わっていなかった。 完全下校時刻まで、まだ30分はある。 たいしたことはできないけれど、少しは準備をしておくべきかもしれない。 私は部室棟へと足を運ぶ。 上履きのゴム製の底が、リノリウムの床にこすれて音が鳴る。規則正しい4拍子のリズ…

『大いなる沈黙へ』

『大いなる沈黙へ』を観に行った。 フランスにあるグランド・シャトルーズという修道院のドキュメンタリーである。かなり厳格な修道院らしく、外部のひとは立ち入り禁止、週に4時間の散歩以外は沈黙、取材を願い出たら「まだ早い」と許可が出るまで16年かか…

下校しようとした私の靴箱には紙片が入っていて、 『生徒会室、17.25時、ほしのみや』 その指示通りに私は生徒会室の扉を開けた。 オレンジ色の西日は北向のここには入らない。 暗い部屋のなかに、ひとり。 「来たね」 生徒会長、海海星宮(うみうみ・ほしの…

#2

久しぶりに更新。一息ついたのでこないだの小説の続きをのせます。 さらに続きを書くかはかなり怪しい。 * 頭で決めた覚悟がわたしの全身に浸みわたっていって、心臓の鼓動がどんどんはやまることを止めることができない。だいじょうぶだいじょうぶ、死体は…

考えるんだ。この最近のうんざりといきづまりは、考えていないからだ。汲々と生きてしまっている。もっとどうしようもない感じで考えなくてはいけない。

てさぐれ!部活ものへの自分の賛辞とだいたい同じだった。http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45201_22667.html

最近は『後宮楽園球場』の花刺(フワーリ)はやっぱり素晴らしいのではないか、という思いを抱いている。 設定というよりは、その名前の眼触り。イメージの衝突のその感覚をキャラクターと呼ぶこと。そうでもなければあまりにも言葉が貧しすぎるものだとして…

昆布出汁でとろとろと大根を煮て、醤油をたらして食べる。 茹でた饂飩と出汁を絡めて啜り、寝る。

書く、あるいは小説を書く、ということの切実さがおのれのからだから少しずつ摩耗していっていることは自覚していて、だからルーチンだとか習慣に賭けなくてはいけないのだ、という気がしていて、それも益体のないことだ。

#1

街から少し離れたところに急峻な崖があって、海を切り裂くように尖った先端はちょっとした自殺の名所になっているのだけれど、その踏み馴らされて平らになった岩盤からあまり遠くない松林の中にわたしは住んでいたりする。 住んでるといったけれど、家出して…