原因不明の体調不良。汗がだらだらと流れて、くしゃみと鼻水が止まらない。

 

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』を読み終える。なんだかんだと忙しくてひと月ほどかかってしまった。

よい。かなりよい。意識を書くということはこれくらいに抑制的でなくてはならないのだ。意識というもともと私たちが持っていないものを文字に連ねれば、すぐさま過剰性に落ち込んでしまって(端的に自分がジョイスを読めないということなのだけれど)、だからキャラクターたちには強靭な理性が要求される。彼女ら彼らが考えるのは、他者の人格と「人生」という極限までに抽象化された概念であって、事象のことがらからすぐさま人生がすべりこむ。他者の人格とここで言っているのは、普遍的な人格のことで、この小説のキャラクターたちは他者という固有名をあらゆる時間の経過を超越した人格としてのみ理解しようとする。キャラたちが自身に許すのはそうした抽象概念だけであって、それ以外の日常的な中間理論はまったく姿を現さない(もちろん例外としての第二部があって、それはあきらかに世界をこうした限定された意識の外部へと拡張していて、個人的には一番好きな箇所ではある)。この抑制が非常によかった。