おおかみこどもの雨と雪」を観た。

すごかった、すごかった。だが、これはイデオロギー的な敵なのだろう。「国敗れて山河在り」の山河的なるものを称揚するわけにはいかない。そういう意味で感動と同時に違和感=脳内左翼の必死の叫びがあったわけだが、しかし、あの「田舎」ユートピアが完全に敵かというと、難しい。つまり、あのユートピアはまったくもって「すばらしい日本の田舎」なのだが、それが実際、映画として具体的な様相を見せると、ほとんどアナーキスト的なユートピアと一緒になってしまうのだ、ということをまざまざとみせつけられたのだ。そして私はアナーキストだから、あの映画を批難すればするほど同時に私の価値信念体系も傷ついていく。だから、難しい。

映画としては突っ込むところもなくすごい映画でした。

映画館に行くとついポップコーンを頼んでしまう。塩味よりもキャラメル味のほうが好きで、けれど、今回は半分くらい床にこぼしてしまった。死にたい。新宿バルト9の席についてるカップ置き場にポップコーンはちゃんと入らない。覚えた。

 

大学図書館に行って、よし、おべんきょうをするぞっ、と思っても気付いたら、雑誌をめくっていたりする。

群像1997年1月号掲載のヴィクトル・エロフェーエフ『馬鹿と暮らして』を読む。

ああ、ソ連文学だ、ブレジネフ期のインテリゲンチャの書く小説だ、と自然に感慨するくらいよい小説。抑圧的な体制と無共感の登場人物としっちゃかめっちゃかでグロテスクな暴力の三段重ね。こういう荒々しさというか空気と血と人間みたいな小説はロシア文学を読む楽しみのひとつ。レーニンちゃんの造詣とかがいい。

 

新しい小説のことは、もうそろそろ実作に入るべきだろう。